訴訟相次ぐ「金さん銀さん」

 「金さん銀さん」を運営する㈲ユートピアアットホーム旭川の山本隆前代表取締役がかかわる貸金、賠償金裁判が相次いでいる。争いからは、資金作りに追われる山本氏の姿が浮かび上がり、「外食事業投資に失敗し金に困っている」とのうわさに符合する。気になるのが、解任された後の山本氏の「金さん銀さんを舞台に違法診療が繰り返されていた」という衝撃的な告発。「資金作りのために山本氏が医療法人を誘い、実際に違法行為に手を染めたのではないか」との疑念も消えない。旭川市議会から追及の声もあがっている。

将来に向けた布石のはずが……
 ユートピアアットホーム旭川(以下、ユートピア)の事業は、旭川市川端のグループハウス「華泉」でスタート。その後、「金さん銀さん」の名称がつくグループハウスを次々と増やし、業界大手となった。山本氏が代表取締役で、パートナーの松下喜美子氏が実務一切を仕切る取締役。
道北の浜頓別町出身で波乱の人生を歩んできた山本氏にとって出来すぎともいえる事業の成功だった。もっとも、健康と長寿を連想させるネーミングとは裏腹に、金さん銀さんは入所者の扱いなどで悪評が耐えない施設であった。
その山本氏が「外国への飲食店出店事業へ誘われ出資したが、巨額な負債を抱えた。穴埋め資金の必要に迫られ金銭的に窮している」とのうわさが伝わるようになったのは一昨年末頃。年が明けると「会社を売却した」「留萌の医療法人がユートピアの経営権を手にした」といった情報が走り回った。
山本氏自身「私が一線を退くとか、事業を売却するなどといったことはない」と否定。昨年2月に突然、役員改選が行われ新しい取締役が3人就任し、新任の一人・森田秀一氏に代表権がついたときも「森田さんは病院経営コンサルタントで、医師や看護師派遣を手掛けている。うちも看護師などの有資格者確保に苦労しており、懸案の人材確保のために森田さんに経営に参画してもらった」と、あくまでも将来へ向けた布石であると説明した。
そんな風に語った山本氏だったが、後述する法廷の争いからは、世間のうわさ通り、金に窮しなりふりかまわず資金作りに走る姿が見えてくる。

(この続きは月刊北海道経済2013年5月号でご覧ください)

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