介護福祉業界で人手不足が加速

 高齢化が急速に進む中、介護福祉業界の人出不足が全国で深刻化している。旭川市内の施設でも求人を出しても応募がゼロという状況がここ数年間続いており、関係者は人材確保に頭を悩ませている。

全国で38万人が不足
 全国の介護現場で人手不足が叫ばれて久しい。少し前のデータになるが、厚生労働省によると2014年度の介護職員数は約177万人。介護保険制度が始まった2000年度の約3倍の数に増えたものの、急速な高齢化とともに要介護や要支援の認定を受ける高齢者が急増したことで需要に人材の確保が追い付かず、団塊の世代が75歳以上になる25年度には実に約38万人の介護職員が不足すると言われている。全国各地では、人材不足のために高齢者の利用を制限する施設もあるほど深刻な状況に陥っているところもあり、職員の確保は喫緊の課題だ。
介護福祉業界
 北海道でも介護現場における人手不足は加速しており、厚労省では25年には道内で約1万2千人の担い手が不足すると推計している。
 人手不足の理由として指摘されているのが待遇の悪さだ。過酷な仕事の内容に比べて賃金が安いことが慢性的な人材不足を引き起こす大きな原因として指摘されており、厚労省の賃金構造基本統計調査を見ると、社会保険・社会福祉・介護事業の月平均の給与額は全産業の給与額よりも10万円ほど低くなっている。
 道北の拠点都市・旭川は、留萌など近隣市町村から高齢者が移住して来るために、高齢化率が極めて高い。そのために施設の数、入居者数ともに多く、全国の自治体の中でも介護職員の人材不足が顕著だ。
 ハローワーク旭川が公表している直近のデータでは、16年11月に管内の介護福祉施設が募集したホームヘルパー、ケアワーカーの数を示す月間有効求人数は542人で全職種のトップ。ちなみに2位は調理人・調理見習で277人で一般事務員272人が続く。これに対し、ホームヘルパー、ケアワーカーの職を希望する人の数を示した有効求職者数は184人。有効求職者数に対する有効求人数の割合を表す有効求人倍率で見ると2・95という完全な「売り手市場」だ。

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この続きは月刊北海道経済2017年2月号でお読みください。
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