道内大手ドラッグストアの㈱サッポロドラッグストアー(札幌市、富山睦浩社長)が、旭川市内に今年度中、複数出店する計画に対し、道内最大手で旭川を創業の地とする㈱ツルハ(札幌市、鶴羽樹社長)は昨年10月、サツドラの加工食品担当幹部を引き抜くなど、サツドラとの全面戦争に向け準備を整えている。
道北はほとんど空白地帯
道内に137店舗(2012年11月15日現在、調剤薬局を含む)を運営するサツドラは、旭川を中心とする道北地区にわずか9店舗しかない。さらに、旭川市内では豊岡にあるショッピングセンター「アモール」内に50坪程度の小規模な店舗がたった一つと、同業のツルハに対し大きく遅れをとっている。道内のほかの地区にくまなく進出していることを考えれば、周辺の町を含め40万人規模の商圏を持つ旭川地区に1店舗というのは、非常に珍しい現象だ。
実はサツドラは05年、旭川市3条通17丁目に中規模の店舗を出店したことがある。現在はホームセンターの「イエローグローブ」が入居している場所だ。ところが、5年後の10年に業績不振を理由に撤退してしまった。それに関して同社では多くを語らないが、札幌のある流通大手幹部は「ツルハにつぶされた」と断言する。話半分としても、サツドラにとってこの撤退はじくじたるものがあったに違いない。
旭川を中心に出店攻勢
サツドラは昨年11月下旬、改めて戦略を練り直し旭川を中心に道北地区への出店を強化すると発表した。具体的には、今年から5年間で大型店を中心に10店舗を出店する。さらに、10年間で現在、道北地区にある9店舗の3倍、30店規模にまで拡大する計画だ。
すでに旭川市内では、再出発1号店として、北炭販売㈱が所有する大町2条7丁目の土地約2000坪を賃借し、建坪423坪の大型店を6月24日にオープンする予定だ。駐車場は140台規模で、同じ敷地内には50坪弱の別のテナントが入る予定。北炭販売では、「これまで食品スーパーやドラッグ、パチンコ店、葬儀社などいくつか問い合わせはあったが、当社が希望する約2000坪の土地全てを賃貸契約するという条件を飲んでくれたのがサツドラ」という。先に本誌が12年9月号で報じた市内4条通のカワムラ本社跡地より若干、開店時期が早まる予定だ。さらに、サツドラでは「未定」と説明するものの、本誌が昨年11月号で報じた市内4条通の道新旭川支社跡地への進出の計画も含めると、今年度中に少なくとも3店舗を出店する可能性がある。
いずれも、同社の店舗フォーマットにある大型店「メガドラッグ」になりそうだ。メガドラッグとは、店舗面積が350坪から700坪で、薬や化粧品、酒類や冷凍食品を含む加工食品、生活雑貨、調剤薬局のほかに、エステやネイルサロンを併設する機能を持つ店舗もある。こういった大型店を旭川に出店する理由として、これまでのような店舗形態ではツルハの牙城は崩せないというサツドラの強い信念が窺える。
(続きは月刊北海道経済2月号でごらんください)