延命? 建替? マンションの「終活」

 高経年のマンションをどうするのかを決めるのがマンションの終活。国は改修・建替え促進を狙いに区分所有法を改正するが、果たして旭川のマンションの再生は進むのか?

百年? 68年?
 RC(鉄筋コンクリート)造マンションの寿命は、適切なメンテナンスが施されていれば100年とされている。木造に比べてはるかに強健で、東日本大震災では鉄筋コンクリート造の建物で大破したものはないとされる。技術の進歩を考えると、さらに伸びる可能性もあるようだ。一方で、国土交通省の資料によると、RC造の建物の平均寿命は約68年。また、税務上の資産価値がゼロになるまでの寿命(期間法定耐用年数)は47年。ただし固定資産税法上の耐用年数は60年だ。
 本誌25年10月号の記事「老いるマンション」で紹介した通り、旭川市内にはおよそ220棟のマンションがある。
 旭川市建築総務課が23年9月に「分譲マンション管理状況調査」を実施しているが、それによると築年数の内訳は、築10年以内6棟、10~20年以内が19棟、20~40年が37棟、40~50年が126棟、50~60年2棟、60年を超えの物件が1棟となっている。
 多くが70年代から80年代に建設されており、全体の6割が築年数40年を超えている。なお調査は23年9月に行われているので、買物公園1条のタワーマンションと、忠別川をはさんで建つタカノのロジェ・プライムスクエア神楽は入っていない。

2つの老い
 築40年超が6割の旭川のマンションは確かに〝高経年化〟している。しかし、国土交通省がいう68年、一般的に言われる寿命100年にはまだ間があるのだが…
 旭川市内の62の分譲マンション管理組合が加盟する「NPО法人 旭川マンション管理組合連合会」の水島能裕会長は「マンションの終活を真剣に考えなければならない時を迎えている」と訴える。
 「旭川のマンションは札幌や全国主要都市と比べて建物の築年数が突出して高い。全国的に老朽化マンションは増加し同時に区分所有者の高齢化も進んでいる。〝2つの老い〟が進行し、外壁の剥落などの危険や集会決議の困難化といった課題が顕在化している。これに対応して国は、マンション維持管理や建て替えに関する意思決定がスムーズになるように区分所有改正法を今年4月1日に施行する。寿命100年ともいわれるが、この建物をいつまで使うのか、いつまで使えるのか、いましっかりマンションの〝終活〟を考えなければならない」
 前ページのグラフは、国土交通省のデータをもとにした築40年を超えるマンションの全国の棟数を示したもの。23年末時点では136.9万戸となっているが20年後の43年には約3.4倍に増加し463.8万戸となる。旭川のマンションも老朽化が進み20年後には6割が築60年、人間でいえば還暦を迎えることになる。
 上のグラフは、全国の分譲マンション所有者のうちの60歳以上のみの世帯の割合(出典・国土交通省)。ちょっと古い8年前のデータだが、築年数が古いほど住民の高齢化は進んでおり、築40年超ではほぼ5割が高齢者世帯となっている。
 水島会長が指摘する2つの老いが進行し、管理組合の集会決議の困難化といった問題が起きている。

3種類の終活
 国がマンション維持管理や建て替えに関する意思決定がスムーズになることを狙って4月1日に施行する区分所有改正法の主なポイントは〇所在不明者や総会欠席者を総会の決議の分母から除外できる〇多数決要件の緩和─などだ。
 ただ、多数決要件の緩和は、一定の事由が認められたりする場合に限られ、限定的。また大半のマンションの維持管理や建て替えでネックとなっている資金の問題は解消されない。
 「資金不足はどこの管理組合も抱える大きな問題で、解決のためには長期修繕計画を見直す必要がある。終活は大きく分けて3つ。メンテナンスして長く使うか、解体して新築するか、解体して敷地を売却するか。人口減が進み経済規模が縮小している旭川などの地方都市では解体新築・売却は難しくメンテナンスで長く住むことが現実的。現状の建物の耐久性を調査し推定寿命を算出、しっかりした終活計画を策定し改修や再生に取り組むということではないだろうか」と水島会長は言う。

この記事は月刊北海道経済2026年2月号に掲載されています。
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