旭川トヨタの残業ルール、「現場無視!」か労務改革か

 「戸島義信社長が厳しい残業ルールを打ち出した。守らなかった社員は解雇。現場の社員から悲鳴が上がっている」─道北地区自動車ディーラートップの旭川トヨタ自動車㈱(旭川市4条通2丁目)社員からの内部告発。残業を無くし業務効率化を目指す旭川トヨタの方針は正しいのだろうが、同業ディーラーからも「あまりにも乱暴な取り組み」といぶかる声。

現場から悲鳴
 旭川トヨタで働く男性社員から「労務管理が厳しく、現場から悲鳴があがっている」との告発が本誌に寄せられた。
 この社員、Aさんの訴えはこうだ。
 ──残業を減らすようにとの指導が数年前から繰り返されてきたが、昨年春に「夜8時を超えた残業は絶対ダメ、始業9時より前の出社も厳禁。破った社員は解雇」との酷(むご)い決まりが出された。昨年秋に網走店が労働基準監督署(以下、労基署)の摘発を受けたが、労務管理が出来ていないとの理由で会社は店長を即刻クビにした。ルールを守らなければこうなるとの、全社員への見せしめの処分ともとれた。
 会社は10年ほど前から、定年で退職する社員の補充をしないなど徐々に社員数を減らしてきており、今は社員一人ひとりの業務負担がかなり重くなっている。そんな現状を無視して早出はダメ、夜8時以降の残業も認めないでは仕事が回らない。とくにサービスの現場で、イレギュラーで入ってくる修理などの仕事に対応できず、社員が困惑、悲鳴があがっている──

大安の定休日は?
 ルールを破った社員は解雇とは信じられないような厳しい方針だが、それが打ち出された背景には「毎年のように続いた労基署の立ち入り調査が影響している」とAさんは話す。2年前に羽幌店、士別店と立ち入りが続いたのだそうだ。この時、未払いの残業代が「過去にさかのぼり、多い人で100万円に達した」。他のスタッフの分も加えると1店数百万円の〝負担〟が発生したことになる。会社にとってその負担も大きいが、たび重なる労務違反に対し労基署から極めて厳しい指導があったのだろうというのがAさんの見方だ。
 Aさん自身、今は8時になったらとりかかっている仕事が途中であっても、そこでストップして帰宅するとのこと。サービスの部署には急に事故や故障のための修理依頼がくる。何とか時間内に終わらせようと急ぐが8時までには終わりそうにないと分かると、顧客に電話して修理終了日時の延期を告げることになる。また、新車購入者は大安の納車にこだわる人が少なくないが、旭川トヨタの定休日火曜日が大安とぶつかったとき、営業スタッフは一苦労することになる。原則、定休日の出社は禁止されている。
「理解してくれるお客さんもいるが、現場が顧客ニーズに対応できなくなりつつあり、じわりじわり顧客離れが進んでいると感じる」とAさん。

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この続きは月刊北海道経済2016年05月号でお読みください。
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