迷走するしずお建設運輸 M&A白紙撤回

 両社のトップが並んで経営譲渡会見が行われたのは5月26日。そのわずか1ヵ月後にしずお建設運輸㈱の今井優子社長は、苫小牧の朝日建設㈱への譲渡白紙撤回を発表した。異例の〝破談会見〟までに、いったい何があったのか。役職員退職が続くしずおはどうなる─。

1ヵ月で反転
 しずお建設運輸の今井優子社長と朝日建設の吉田和基社長が同席し「経営譲渡で合意した。6月末ごろには株式の売却を完了し、しずお建設運輸のすべての業務を朝日建設が引き継ぐ」と発表したのは5月26日のことだった。その3日前に吉田社長はしずお建設運輸の社長にも就任しており、いわば新しい〝しずおの顔〟。「建設運輸と農場の両事業を継承し一層発展させたい」と抱負を語った。
 取り決めに沿って、しずお建設運輸の創業者で今井社長の実父・佐藤静雄会長は5月末で退任、株売却完了と同時に今井社長も退任するとした。士別市を代表する企業の経営譲渡は地元経済界と市民に大きな衝撃を与えたが、事業も雇用も維持されるということで、一件落着との安心感が広がったのだが…。譲渡発表記者会見からわずか1ヵ月後(正確には28日後)、事態は一転して、6月23日に今井社長は「経営譲渡を白紙撤回する」と発表した。
 1ヵ月前に就任したばかりの吉田社長は解任。前後して、斉藤忠春副社長も解任した今井社長は「〝新しずお〟として再出発する」と語った。
 経営譲渡発表からわずか1ヵ月で白紙撤回というのは極めて異例だ。しかも〝破談会見〟の席には経営譲渡によって会社存続を切望した佐藤会長は不在。実質的にしずお建設運輸の業務を取り仕切ってきた副社長も解任されての異常事態。いったい、この1ヵ月の間に何があったのか。

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この続きは月刊北海道経済2016年08月号でお読みください。
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