優佳良織買収するエーコー財団

 旭川市南ヶ丘にある優佳良織工芸館など3施設を買収する予定の一般財団法人「エーコー財団」(山下潔理事長)は、施設の買収にかかる取得税などの経費や今後の施設改修にかかる費用が多額になることから、施設について博物館法の認定を受けて固定資産税を非課税にするなどして運営費用の圧縮を図る。今年3月までにその申請を提出し、年内にも認定を受けたいとしている。

固定資産税節約
 2016年に経営破たんした㈱北海道伝統美術工芸村が所有していた優佳良織工芸館と国際染織美術館、現在でも結婚式場などとして営業している雪の美術館の3施設は、同社が破たんした後、破産管財人の成川毅弁護士が管理している。固定資産税滞納分が5億4000万円あったことから、旭川市が大口の債権者。優佳良織は市内の有力な観光施設であることから、再活用にあたっては市の意向が注目されていた。
 そのような状況の中、不動産業や携帯電話販売事業を展開するハスコムグループの山下潔会長が、「せっかくの資産を何か有効活用できないか」と、私財を投げ打って設立したエーコー財団がこれら3施設を1億1000万円で買収する運びとなった。
 ところが、買収に際して取得税など4000万円近い費用が必要になることや、将来的に古くなった施設の改修に莫大な費用がかかることから、少しでも経費を圧縮するために、固定資産税が非課税になるなど税制上の優遇措置が受けられる博物館法を活用する案が浮上した。
 この法律によれば、施設に十分な展示資料があり、施設内に学芸員を配置、年間150日以上開館しているなどの要件を満たせば、博物館認定を経て税金などが免除されると定めている。また、それより基準が緩い「博物館相当施設」というものもあり、これも固定資産税は非課税となる。博物館という括りで認定されれば、山下会長が「先の見通しが立たないものに投資するつもりはない。旭川の観光拠点として地域に貢献できるもの、また博物館のような施設であれば協力したい」と、かねがね言っていたことが現実化することになる。
 博物館法認定に向けた申請は、エーコー財団が直接行うものだが、これまでの経緯を考えれば、旭川市や旭川市と周辺7町が加盟する「大雪カムイミンタラDMO」(観光地域づくり推進法人)の協力は不可欠だ。

今更の横やりも
 エーコー財団が手を挙げたことで、旭川市の〝お荷物〟だった優佳良織施設を買収することがほぼ決定したわけだが、意外なことに冷ややかな声も上がっている。市議会からは「競売にかければ5億円ぐらいで売却できたのではないか」などという声が出ているというのだ。
 たしかに、確実なものではなかったが、中国系の企業や宗教団体などが買収に向けて動いているとの情報が流れたことはあった。遠くはニセコ、道北では富良野などでチャイナマネーの活発な動きが伝えられ、旭川市内でも駅付近の一等地や旭川医大付近の見晴らしのいい区画が新興宗教の団体に買収されたことはあるが、優佳良織については「金だけで海外の投資家に売却してもいいのか」という批判の声が目立ち、買収が具体化することはなかった。
 旭川市と関係の薄い企業や団体の手に優佳良織が落ちるのを食い止めたのがエーコー財団の山下会長の心意気だったわけで、いまさら「競売にかければ」といった声が出てくるのは意外な話だ。
 また、「現職の副市長がエーコー財団の理事に就任したのはおかしい」という声もあった。これは、旭川市の表憲章副市長が同財団の理事に就任したことを良く思わない一部の経済人や市議の声。昨年12月の定例議会では、その点を一般質問で問いただす市議の動きもあったようだが、西川将人市長から表副市長に「今後のこともあるので手伝って欲しい」と要請したことが「お墨付き」となり、一部市議らは質問することを控えた。
 ただし、今年2月ごろ、博物館法を活用した認定への道筋ができた時期に、「いらぬ誤解をまぬかれないよう、理事を辞任する」(表副市長)と、けじめをつけたい意向だ。

「博物館相当」認定 工芸館が焦点
 問題は、今後の北海道教育委員会に対する認定届けの提出に向けて、市が速やかにエーコー財団に対して協力体制を取ることができるかだろう。今のところ同財団は素人集団に過ぎないが、市と大雪カムイミンタラDMOは、認定への道筋をつけることができなければ、エーコー財団の下での優佳良織再生というビジョンが絵に描いた餅に終わってしまう。
 認定へ向けた具体的な方法だが、ひとまず今年3月末までに申請の準備にメドをつける。市のある幹部は次のような見解を示す。
 「3つの施設のうち、雪の美術館と国際染織美術館はすでに美術館相当に値する。残る優佳良織工芸館は現状では微妙で今後の課題。学芸員は新たに採用するか、もしくは市の職員を派遣しても構わない。施設の開館日数も特に心配することはないだろう。3月末までにある程度のメドをつけ、年内までに形を作り上げればいい」
 残る問題は、施設の今後の運営。まずは老朽化した施設を改修して魅力あるものに造り変えることができるノウハウ。「ここの点については、すでにある民間業者との間で詰めている。どうすれば採算ベースの乗せることができるかは運営上重要なポイントになる」と、市のある幹部は前向きな姿勢を見せる。

表紙2002
この記事は月刊北海道経済2020年02月号に掲載されています。