巨額工事めぐり南富良野町長逮捕

 2016年の台風被害に見舞われた南富良野町にとって復興のシンボルでもある「道の駅」。その大型工事をめぐり現職の池部彰町長(72)が官製談合防止法違反の疑いで逮捕された。池部容疑者のカネにまつわる風評は以前からくすぶっていたが、道警の執念の捜査がようやく実を結んだ。(記事は3月10日現在)

カネにまつわるウワサ
2015年10月頃から

 池部容疑者に関しカネにまつわる風評が現実味をおびて語られるようになったのは、2015年10月ごろから。具体的なカネの受け渡し等の証人や決め手には欠けたものの、その内容は道警関係者の知るところともなり、確度の高い情報提供者も複数存在した。当初贈賄の疑いが持たれたのは、道北管内ではその名を知られたX建設会社だ。
 道警関係者によると、「池部容疑者は国庫など補助金を持ってくるのが非常にうまい。小中学校や特別養護老人ホームなど、推定50億円程度補助金を得て、そのうち30億円程度の仕事をX社に受注させワイロを得ていたようだ」と振り返る。
 金山地区の特老ホームなどは募集しても職員が集まらず、入居者が減り、その赤字を埋めるのに町の財政で数千万円以上も補てんしていた。町内では「町関係の仕事に依存する体質の中、池部容疑者は町内の建設関連業者を使わず、町外の業者にカネが回り、企業や雇用が衰退するばかりでなく、将来にわたり莫大な負債が町民に残ると揶揄されていた」と道警関係者。
 2015年当時の池部容疑者について、道警では「官主導の入札、周りはイエスマンで固めている」との風評に加えて、以下のような情報も町民から収集していた。「町内の大型建築物は5億円程度でX社に受注させている。なぜ町民を雇用している町内の建設関連会社を使わないのかという議会質問にも、町内に支店や事業所を置く町外企業も町内企業とするとの答弁で交わしている」
 真相は定かではないが、池部容疑者に対する疑惑はこのほか、農林水産省の木質バイオマスボイラー事業、民間業者のアパート建築に関して便宜をはかった件が挙げられる。しかも、これらの疑惑は今でも払拭されず、くすぶったまま。そして再び池部容疑者のカネにまつわるキナ臭い疑惑が噴出したのが今回の南富良野町官製談合事件だ。
 事件の舞台は南富良野町発注「道の駅を核とした町の賑わい拠点施設」工事。総事業費約11億円。人口2300人の町にとっては大きな規模の公共工事だ。南富良野町では長きにわたり、業者間の互選で工事業者を選ぶのが慣例で、疑惑の矛先となった機械設備工事でも、3つのJV(共同企業体)が組まれた。ところが、こうした慣例を破るように業界の意向を無視して南富良野町に対し「談合があるのではないか?」と申し立て、入札に加わったのが上富良野町に本社を置く設備会社のA工業所が代表を務める給排水のJV(ほかに旭川のI設備会社が参加)だった。

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この続きは月刊北海道経済2022年04月号でお読み下さい。